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2024年6月、オートモーティブ・セルズ・カンパニー(ACC)の合弁事業が発足する。 ステラントスメルセデス・ベンツとトータルエナジー社は、イタリアのテルモリとドイツのカイザースラウテルンを中心とするヨーロッパでのバッテリー・ギガ工場計画を保留すると発表した。その理由とは?欧州における電気自動車(EV)需要の減少だ。 しかし、予想外の新たな展開が、これらのプロジェクトの将来に疑問を投げかけているようだ。
当初は、電気自動車の需要減退が休止の主な理由として挙げられていた。2024年、欧州ではEV市場が減速した。ACCの工場ではリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン(NCM)電池を想定していたが、予想より楽観的でないことが判明し、利幅が縮小した。
しかし、この正当化の裏には、もっと複雑な現実がある。バッテリー分野は急速に進化しており、特にリン酸鉄リチウム(LFP)化学は、NCMバッテリーの本格的な代替技術となっている。この新しい化学はより低い製造コストを提供するが、当初はACCのロードマップには含まれていなかった。
この技術革命に適応するために、 ステランティスは、CATLなどLFPバッテリー市場のリーダーと戦略的パートナーシップを締結している。シトロエンe-C3、フィアット・グランデ・パンダ、将来の電気自動車フィアット500など、より手頃な電気自動車の生産に必要な供給を確保するためである。
LFPバッテリーへの移行が、ACCにとって必要な軸として落ち着いたように見えた矢先だった、 トタル・エナジーズのパトリック・プヤネ社長の新たな声明は、ヨーロッパにおけるギガファクトリーの将来に暗雲を投げかけている。 2025年2月10日のインタビューで、プヤネはドイツとイタリアに新工場を開発することの妥当性に疑問を呈し、代わりにフランスのビリーベルクローにある既存工場に焦点を当てるべきだと提案した。「3つの工場よりも1つの工場に力を注いだほうがいい」と彼は言い、最初の工場が完全に稼働する前に工場を増やすことの財務的リスクを指摘した。
トタルエナジーズの姿勢は、欧州、特にイタリアとドイツでの事業拡大を求めていたACCの当初の計画とは一線を画すものだ。この2カ国に直接的な権益を持つメルセデス・ベンツとステランティスは、この声明を彼らの野心に対するブレーキとみなすことができる。結局のところ、これらの工場はこれらの市場向けのEV用バッテリーを生産することになっていたのだ。 トタルエナジー社が新規発電所建設に懐疑的であることは、ステランティス社とその同盟国の計画を混乱させる可能性がある。
ACCの3つのパートナー間の関係が圧力を受ける可能性がある。 メルセデス・ベンツとステランティスは、電動化への動きには同意しているものの、必ずしもトータルエナジーズと同じ戦略を追求しているわけではない。パトリック・プヤネは、フランス工場を優先することを主張することで、自国市場での生産能力を確保しようとするヨーロッパのパートナーに大きな圧力をかけている。
ステランティスの元CEOであるカルロス・タバレスは、すでにプヤネから報告を受けていると報じられている。 は、従来の自動車産業よりもはるかに複雑な専門知識を必要とするバッテリーセルの生産に特有の課題を指摘した。「ここでは単にロボットの話をしているのではなく、専門的なノウハウを必要とするプロセスの話をしているのです」とトータルエナジーのCEOは語った。
2025年前半にイタリアとドイツでバッテリー工場が建設されるという新情報を待ち望んでいたが、このプロジェクトの主要パートナーからの新たな声明は予想外のものだった。 ステランティスと彼のパートナーたちは、厳しい選択を迫られることになる。 すでに困難に直面しているカイザースラウテルン工場とテルモリ工場にとっては大きな打撃だ。
ステランティスは中国とLFP工場を設立することで、Accの将来を封印した。Accの3倍の規模になるこの工場は、イタリアでもドイツでもなく、スペインに建設される予定だ。
そして、lfp技術が半額になることでnmc技術に追いつこうとしていることを考えれば、lfpを作る研究開発予算さえないAccを恐れるのは簡単だ......。